食物繊維摂取量は、数多くの疾患と有意な負の関連が報告されている稀な栄養素
食物繊維摂取量は、数多くの疾患と有意な負の関連が報告されている稀な栄養素
食物繊維の重要性を理解するにあたって、知っておいた方が良い情報があります。
厚生労働省「日本人の食事摂取基準 2020年版」のP153に書かれている内容です。
ぜひ、ご覧ください。
食物繊維摂取量は、数多くの生活習慣病の発症率又は死亡率との関連が検討されており、メタ・アナリシスによって数多くの疾患と有意な負の関連が報告されている稀な栄養素である。
代表的なものとして、総死亡率、心筋梗塞の発症及び死亡、脳卒中の発症、循環器疾患の発症及び死亡、2型糖尿病の発症、乳がんの発症、胃がんの発症、大腸がんの発症などがある。
例えば、食物繊維をほとんど摂取しない場合に比べて、20 g/日程度摂取していた群では心筋梗塞の発症率が 15% ほど低かったと報告されている。
また、メタボリックシンドロームの発症率との関連を検討したメタ・アナリシスも存在する。これらの報告は、総合的には食物繊維摂取量が多いほどこれらの発症率や死亡率が低くなる傾向を認めている。
2型糖尿病の発症率との関連を検討したメタ・アナリシスでは、20 g/日以上摂取した場合に発症率の低下が観察されており、閾値としてこの値が存在する可能性を示唆している。
血中総コレステロール及び LDL コレステロールとの負の関連も報告されているが、これは水溶性食物繊維に限られるとされている。
また、ヨーロッパで行われた大規模コホート研究では、食物繊維摂取量と体重増加の間に負の関連が観察されている。
食物繊維摂取量が排便習慣(健康障害としては便秘症)に影響を与える可能性が示唆されている。食物繊維摂取量と便秘症罹患率との関連を横断的並びに縦断的に検討した疫学研究では、便秘症の罹患率、発症率及び排便頻度と食物繊維摂取量との間に負の関連を認めたとする報告がある。
その一方で、両者の間に関連を認めなかった研究も存在する。
最初に読んだ時に、すごい内容と思いました。
「食物繊維摂取量は、数多くの生活習慣病の発症率又は死亡率との関連が検討されており、メタ・アナリシスによって数多くの疾患と有意な負の関連が報告されている稀な栄養素である。」
食物繊維を充分量摂取していると、生活習慣病の発症率が低くなるという報告が世界でされているということです。関連性のある疾患名は、内容を読んでみての通りです。
しかも、これらの疾患に負の関連が報告されている「稀な栄養素」という表現が使われています。
このような報告がなされている栄養素は、他には「稀」ということです。
いかに「食物繊維」が大切な栄養素であるかが、理解できると思います。
また、水溶性食物繊維という表現も登場します。
単に食物繊維ではなく、その種類も考える必要がある、ということだと思います。
そして、「食物繊維摂取量」という部分に注目です。
食物繊維量が重要という内容です。
具体的な量として、ひとつのメタアナリシスの例として「20 g/日程度」とあります。
同じく「日本人の食事摂取基準(2020年版)」によると、食物繊維の1日の目標量は、成人男性で約20g以上、成人女性で約18g以上とされています。
この目標量はひとつの目安になります。
しかし、これが難しいのです。