β-カロテンなどのカロテノイドに関して

カロテノイド


プロビタミンAとして

よく目にするβ-カロテンという栄養素。
何の気なしに使っている言葉です。
β-カロテンなどのカロテノイドに関して、まとめてみました。
「日本人の食事摂取基準2020年版」のビタミンAのページに、以下の内容が書かれています。

ビタミンAは、レチノイドといい、その末端構造によりレチノール(アルコール)、レチナール(アルデヒド)、レチノイン酸(カルボン酸)に分類される。
経口摂取した場合、体内でビタミンA活性を有する化合物は、レチノールやレチナール、レチニルエステルのほか、β-カロテン、α-カロテン、β-クリプトキサンチンなどおよそ50種類に及ぶプロビアミンAカロテノイドが知られている。
ビタミンAの食事摂取基準の数値をレチノール相当量として示し、レチノール活性当量という単位で算定した。

まず、β-カロテンは、体内でビタミンA活性を有するプロビタミンAカロテノイドであるということを言っています。β-カロテンは、体内でビタミンAに変換されるということですね。
このビタミンAの食事摂取基準は、「レチノール活性当量」という単位で表示されると。
レチノール活性当量の計算方法は以下のようです。

レチノール活性当量(μg)=
レチノール+βカロテン×1/12+αカロテン×1/24+βクリプトキサンチン×1/24+その他のプロビタミンAカロテノイド×1/24

つまり、レチノール、βカロテン、αカロテン、βクリプトキサンチン、他の総量を計算した数値ということです。
この中でβカロテンは、1/12という割られ方が少ないということで、プロビタミンAとしては重要な栄養素であることがわかります。

「食品成分表2020(七訂)」を見てみると、ビタミンAの項目には、レチノール、βカロテン、αカロテン、βクリプトキサンチンの数値を示す項目がそれぞれあります。

ということで、β-カロテンは、プロビタミンAとしての役割があることがわかりました。
参考までに、「日本人の食事摂取基準2020年版」より、レチノール活性当量の推奨量をお知らせします。

レチノール活性当量の推奨量(μgRAE/日)

  男性 女性
18~29(歳) 850 650
30~49(歳) 900 700
50~64(歳) 900 700
65~74(歳) 850 700
75以上(歳) 800 650


カロテノイドに関する基本的な考え方

「日本人の食事摂取基準2020年版」には、以下のような文章も書かれています。

β-カロテン、α-カロテン、クリプトキサンチンなどのプロビタミンAカロテノイドからのビタミンAへの変換は厳密に調節されているので、ビタミンA過剰症は生じない。

ビタミンAに変換されなかったプロビタミンAカロテノイド、リコペン、ルテイン、ゼアキサンチンなどのビタミンAにはならないカロテノイドの一部は体内にそのまま蓄積する。これらカロテノイドの作用としては、抗酸化作用、免疫賦活作用などが想定されている。

世界の代表的なコホート研究のデータをまとめた解析によると、各種カロテノイドの摂取量と肺がん発症率との間に有意な負の関連が示唆されている。

一方、β-カロテンをサプリメントとして大量に摂取させた介入試験の結果を総合すると、β-カロテンの大量摂取はがん(特に肺がん)の予防に対して無効であるか、あるいは有害になる場合もあると考えられる。

一方、前立腺に蓄積しやすいリコペンは前立腺がんの予防に、網膜黄斑に特異的に集積するルテイン及びゼアキサンチンは加齢性網膜黄斑変性症の改善に寄与することが示唆されている。

また、カロテノイドの抗酸化作用は皮膚の光保護に機能すると考えられている。
さらに、ルテイン及びゼアキサンチンの摂取は、網膜の色素維持に必須であることが示唆されている。

ただし、カロテノイド摂取の有効性と安全性については、今後の研究成果を待たねばならない。
カロテノイドの欠乏症は確認されていないので、現時点では食事摂取基準を定めることは適当とは考えられなかった。

これをまとめてみると、β-カロテンなどのプロビタミンAカロテノイドは、ビタミンAに変換されるが、変換されないものは身体に蓄積される。
そして、これらの蓄積されたカロテノイドは、身体の中で作用する。例えば、抗酸化作用、免疫賦活作用などの作用として。

世界中で、いろいろな研究がされていて、各カロテノイドに有意な作用が認められているとのこと。
ただ、例えば、β-カロテンをサプリメントとして摂取した場合は、有害になる可能性もある。
という内容です。


β-カロテン

この2つの内容から、
β-カロテンは、ビタミンAに変換されるということ。
変換されなかった、β-カロテンは、身体に蓄積して抗酸化作用、免疫賦活作用などの作用を持つこと。
これが、β-カロテンの機能性ということがわかりました。

「日本人の食事摂取基準2020年版」に書かれている内容を簡単に読み解くことで、普段何気に使っているβ-カロテンというものが、ほんの少しだけ整理されました。
これだけの情報を知るだけでも、日々の食品を選ぶ際の判断基準になるかもしれません。