食品ごとの水溶性食物繊維の含有量を調べてみました。
食品ごとの水溶性・不溶性食物繊維の含有量を調べてみました。
代表的な食品の食物繊維量を調べてみました。文部科学省「日本食品標準成分表2015年度版(七訂)」を参照しています。
食物繊維量は、イメージで把握していることが多いと思います。食物繊維の正確な数値を把握することで、普段どの程度の量の食物繊維を摂取しているか把握できます。
また、食物繊維ということで一括りに捉えるのではなく、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維を分けて理解することが大切です。水溶性食物繊維と不溶性食物繊維では働きが違います。
とくに今回、水溶性食物繊維の量を把握することを目的にこのページを作成しました。
食物繊維の定義
「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」
水溶性食物繊維
・水に溶けやすく、水に溶けるとゼリー状に。
・粘着性があり胃腸内をゆっくり移動する。
・小腸での栄養素の消化吸収をゆっくりにする。
・糖質の吸収がゆるやかになり食後血糖値の急激な上昇を抑える。
・腸内細菌のエサになる。(発酵性が高い)
イヌリン、ポリデキストロース、難消化性デキストリン、β-グルカン、ペクチン、グルコマンナン、グアーガム、アルギン酸、ポルフィランなど
不溶性食物繊維
・腸の蠕動運動を盛んにする。
・水分をかかえ込んで容積を増やす。
・便の量を増やして便の排泄を促す。
・腸をきれいにして大腸がんのリスクを減らす。
・発酵性は低い。
セルロース、ヘミセルロース、リグニン、キチンなど
各食品の水溶性食物繊維、不溶性食物繊維の量
すべて可食部100gあたりの数値です。文部科学省「日本食品標準成分表2015年度版(七訂)」を参照しました。
穀物
水溶性 | 不溶性 | 食物繊維総量 | |
押麦(穀物) | 6.0 | 3.6 | 9.6 |
玄米(穀物) | 0.7 | 2.3 | 3.0 |
精白米(穀物) | 0 | 0.5 | 0.5 |
玄米(めし) | 0.2 | 1.2 | 1.4 |
精白米(めし) | 0 | 0.3 | 0.3 |
●穀物の状態、つまり炊いていない状態での、大麦、玄米、精白米を比較すると、いかに大麦(押麦)の食物繊維量が多いかが、わかります。特に水溶性食物繊維の多さは、特筆すべきものがあります。実際は、白米に3分の一程度配合して炊きますので、この数値ではなくなるのですが、食物繊維の量が多いことは理解できます。
●大麦は品種によって、食物繊維量に違いがあります。「押麦」より「もち麦」の方が、水溶性食物繊維量は多いです。さらに「もち麦」の中でも「キラリモチ」、もち麦ではないですが「スーパー大麦」は、食物繊維量が多い品種です。この数値よりも大きいことが推測されます。
●毎日食べやすい食品ということで考えると、大麦は、水溶性食物繊維を食べるのにとても適していることがわかります。下の、野菜、果実、きのこ、藻類も見て比較してみてください。
野菜
水溶性 | 不溶性 | 食物繊維総量 | |
大豆(国産、黄大豆、ゆで) | 2.2 | 6.4 | 8.5 |
えだまめ(ゆで) | 0.5 | 4.1 | 4.6 |
オクラ(果実、生) | 1.4 | 3.6 | 5.0 |
西洋かぼちゃ(果実、ゆで) | 0.9 | 3.2 | 4.1 |
キャベツ(結球葉、生) | 0.4 | 1.4 | 1.8 |
きゅうり(果実、生) | 0.2 | 0.9 | 1.1 |
ごぼう(根、ゆで) | 2.7 | 3.4 | 6.1 |
だいこん(根、皮むき、ゆで) | 0.8 | 0.9 | 1.7 |
切り干し大根(ゆで) | 0.6 | 3.2 | 3.7 |
たけのこ(若茎、ゆで) | 0.4 | 2.9 | 3.3 |
たまねぎ(りん茎、水さらし) | 0.5 | 1.0 | 1.5 |
たまねぎ(りん茎、ゆで) | 0.7 | 1.0 | 1.7 |
トマト(果実、生) | 0.3 | 0.7 | 1.0 |
なす(果実、ゆで) | 0.7 | 1.4 | 2.1 |
にら(葉、油いため) | 1.3 | 2.2 | 3.5 |
にんじん(根、皮つき、ゆで) | 1.0 | 1.9 | 3.0 |
にんじん(根、皮むき、ゆで) | 0.8 | 2.0 | 2.8 |
はくさい(結球葉、ゆで) | 0.4 | 1.0 | 1.4 |
青ピーマン(果実、生) | 0.6 | 1.7 | 2.3 |
ブロッコリー(花序、生) | 0.7 | 3.7 | 4.4 |
ブロッコリー(花序、ゆで) | 0.8 | 2.9 | 3.7 |
ほうれんそう(葉、通年平均、生) | 0.7 | 2.1 | 2.8 |
ほうれんそう(葉、通年平均、ゆで) | 0.6 | 3.0 | 3.6 |
モロヘイヤ(茎葉、生) | 1.3 | 4.6 | 5.9 |
レタス(土耕栽培、生) | 0.1 | 1.0 | 1.1 |
れんこん(根茎、ゆで) | 0.2 | 2.1 | 2.3 |
●全体的に野菜は、不溶性食物繊維が多いことがわかります。
●よく食物繊維の比較で、レタス何個分という表現を見ることがあります。しかし、レタスは食物繊維が多くない野菜ということがわかります。
●水溶性食物繊維が1g以上で、100g食べられる食品をピックアップすると、「大豆」「ごぼう」「にんじん」でしょうか。
●「納豆」は毎日食べられますね。1パック45g程度ですから、約1gの水溶性食物繊維が食べられます。
●「ごぼう」は、50g程度は食べられる気がします。水溶性食物繊維1.3gです。
●「にんじん」は、100g食べられそうです。水溶性食物繊維1gです。
果実
水溶性 | 不溶性 | 食物繊維総量 | |
アボカド | 1.7 | 3.6 | 5.3 |
いちご | 0.5 | 0.9 | 1.4 |
柿 | 0.2 | 1.4 | 1.6 |
うんしゅうみかん | 0.5 | 0.5 | 1.0 |
グレープフルーツ | 0.2 | 0.4 | 0.6 |
キウイフルーツ(緑肉種) | 0.7 | 1.8 | 2.5 |
キウイフルーツ(黄肉種) | 0.5 | 0.9 | 1.4 |
すいか | 0.1 | 0.2 | 0.3 |
なし | 0.2 | 0.7 | 0.9 |
パインアップル | 0.1 | 1.4 | 1.5 |
バナナ | 0.1 | 1.0 | 1.1 |
もも | 0.6 | 0.7 | 1.3 |
りんご(皮むき) | 0.4 | 1.0 | 1.4 |
りんご(皮つき) | 0.5 | 1.4 | 1.9 |
●全体的に水溶性食物繊維量は少なめです。
●ただ、果実は水分量が多いので、100g食べることは比較的容易な気がします。そう考えると、キウイフルーツ(緑肉種)は、食物繊維が食べやすい果実の一つかもしれません。
●アボカドが素晴らしいです。100gで、水溶性食物繊維1.7g。アボカドは1個の可食部は約120gだそうです。
きのこ
水溶性 | 不溶性 | 食物繊維総量 | |
えのきたけ(ゆで) | 0.3 | 4.2 | 4.5 |
きくらげ(ゆで) | 0 | 5.2 | 5.2 |
生しいたけ(菌床栽培) | 0.2 | 4.2 | 4.4 |
ぶなしめじ(ゆで) | 0.3 | 3.9 | 4.2 |
なめこ(ゆで) | 1.1 | 1.6 | 2.7 |
エリンギ(ゆで) | 0.1 | 4.7 | 4.8 |
まいたけ(ゆで) | 0.2 | 4.1 | 4.3 |
マッシュルーム(ゆで) | 0.1 | 3.2 | 3.3 |
●きのこも、不溶性食物繊維が多いです。
●きのこは、100gとすると、それなりの量になると思います。
藻類
水溶性 | 不溶性 | 食物繊維総量 | |
藻類 | |||
あおさ | 29.1 | ||
焼きのり | 36.0 | ||
味付けのり | 25.2 | ||
いわのリ | 36.4 | ||
まこんぶ | 27.1 | ||
ひじき(ゆで) | 3.7 | ||
おきなわもずく | 2.0 | ||
わかめ(原藻、生) | 3.6 | ||
乾燥わかめ(水戻し) | 5.8 | ||
めかぶわかめ(生) | 3.4 |
※藻類の食物繊維は、寒天質やアルギン酸等の粘質多糖類が多く、分析の際に行う水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の分別が困難であることから、総量のみを定量して示した。
●水溶性と不溶性の区別がつきませんが、総食物繊維量は多いです。
●ただし、あおさ、焼きのり、味付けのり、いわのりを100g食べるのは難しいと思います。実際食べられる量を考えると、10分の1、20分の1なのではないでしょうか。
まとめ:水溶性食物繊維を毎日充分食べるためには
上の表を見ると、水溶性食物繊維を毎日充分に食べるのがいかに難しいかがわかります。
その中で、水溶性食物繊維を充分に食べるためのアイデアをまとめてみました。
● とにかく大麦です。大麦が水溶性食物繊維(発酵性食物繊維)を毎日充分量 食べるために、欠かせない食品であることがわかります。
● 大麦を30%まぜたご飯をお茶碗に1杯づつ(約175g)×2杯(1日)。品種によって違いますが、キラリモチの場合、おそらく約1.6g×2杯で、約3.2g程度の水溶性食物繊維を食べることができます。総食物繊維量で約6.0g。
● 納豆を毎日1パックで、約1g。
● 海藻を意識的に食べる。
● サプリメントを活用するのも良いと思います。食物繊維は、「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」です。消化されない栄養素です。消化されずに大腸に届くわけです。サプリメントであっても、良いのではないかと思います。発酵することが確認されている商品もあります。
● 水溶性食物繊維のサプリメントには、イヌリン、難消化性デキストリン、ポリデキストロースなどがあります。顆粒状のものが多いです。
● 水溶性食物繊維は、腸内細菌の食べ物ということを考えると多様性が必要です。腸内細菌はおよそ1000種類、存在しているとされます。水溶性食物繊維量が少なくても、多くの食品を食べることが大切であると思います。