体内発酵という考え方
体内発酵という考え方
2020年7月、こだわり商品研究所でご紹介しているイヌリア「発酵する食物繊維」のメーカーである帝人さんから紹介されたセミナーを受講しました。ここで、「体内発酵」というコロンブスの卵的な考え方を教えてもらいました。その後、食物繊維、腸内細菌などの情報収集をしたなかで、自分なりに内容をまとめてみました。
※2022年6月改めてこのページを見てみると、当時に比べて体内発酵の考え方が一般的になっており、また新しい情報も世の中に発表されており、内容を一部修正しました。
発酵とは
「発酵とは何か?」をまずは確認したいと思います。
今まで勉強した発酵に関しての情報からピックアップしてみると、発酵とは以下のように定義されるようです。
● 微生物の働きにより有機化合物が変化する現象。
● 微生物の働きによって物質が変化し、人間にとって有益な物質を作り出すこと。
● 微生物が人間に有益な有機物を生成すること。
発酵食品
味噌、酢、醤油、日本酒、納豆、ヨーグルト、キムチなどの一般的な発酵食品。
これらは微生物の働きにより、元となる物質が変化し、人間にとって有益な有機物が生成され、つくられた食品です。
これは、人間の体外でつくられたものです。
体内発酵
それに対して、人間の体内で微生物の働きにより人間に有益な有機物が生成されることを「体内発酵」と表現することができます。
人の腸内には、100兆個以上の微生物(腸内細菌)が住んでいます。
大まかにわかりやすく言いますとビフィズス菌、乳酸菌などです。
腸内細菌は、食品として長年食べてきた微生物が腸で定着したものも多く存在します。
これらの微生物(腸内細菌)は発酵するのです。
上に書いた「発酵の定義」そのままのはたらきをします。
例えば、微生物(腸内細菌)が人間にとって有益な有機物(例:短鎖脂肪酸)を生成するのです。
まさに「体内発酵」という表現は適切に思えます。
体内発酵する場所は大腸
この「体内発酵」が起きる場所が、腸です。
まず、消化器官ごとの腸内細菌の数をまとめてみました。
この情報は重要です。
●胃・・・100~1000個/g 強い胃酸があるため多くない。
●十二指腸・・・100~1000個/g 胆汁のため多くない。
●空腸・・・約10000個/g 流れが速く増殖し難い。宿主との栄養分の取り合い等定着し難い。
●回腸・・・10万~1000万/g
●大腸・・・1000億個/g 100兆個以上です。
圧倒的に大腸に腸内細菌が多いです。
いわゆる腸内フローラは大腸に存在します。
体内発酵が起きる場所は、とくに大腸です。
体内発酵でつくられるのは短鎖脂肪酸
体内発酵でつくられる人間にとって有益な物質は、「短鎖脂肪酸」です。
酪酸、酢酸、プロピオン酸などです。
この短鎖脂肪酸は、「スーパー物質」と呼ばれ、健康面であらゆる良い働きをします。
腸内環境で健康に関するあらゆることが説明できるといわれますが、短鎖脂肪酸がその主役のひとつと思われます。
体内発酵のために、必要な栄養素が発酵性食物繊維
「体内発酵」によって短鎖脂肪酸が産生されるためには、微生物(腸内細菌)の栄養が必要です。
それが、水溶性食物繊維です。(現在は、発酵性食物繊維といった方が正しいです。)
βグルカン、イヌリン、ペクチン、アラビノキシラン、グルコマンナン等です。
※ちなみに、食物繊維と言うと野菜を思い出す人が多いと思われますが、野菜に入っている食物繊維は不溶性食物繊維が多く、発酵しないものも多いです。
体内発酵という考え方
体内発酵という考え方いかがでしたでしょうか。
発酵と言うのは、ヒトの歴史と共に存在してきたものです。
定義にあるように、発酵は人に有益な食品をつくってきました。
その「発酵」という「働き」は、人間の身体の中でも行われていました。
別の表現をすると、人間の「体内発酵」の一部を外に出したのが発酵食品と言う「見方」もできるのです。
その「発酵食品」と人は共生してきました。
「発酵食品」は、「人の身体に良い食品」と言う認識をして、意識的に食べている人は多いと思います。
同じように人間の身体の中の発酵を意識して食生活を考えてみる、そんなことに気が付きました。
「体内発酵」というキーワードがあることで、「腸内のはたらき」がわかりやすくなった気がします。
【 体内発酵 】
「大腸の腸内細菌」が「発酵」をすることで「短鎖脂肪酸」が産生されること。
そのために「発酵性食物繊維」が必要。
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