オイル美容に関して
美容オイルに関して勉強をしてきました。
2019年7月21日 日本化粧品検定協会顧問 白野実氏のセミナーを受けました。テーマは「オイルコスメを読む」です。美容オイルに関して、専門家の先生の話を聞くことができ、非常に勉強になりました。ここで教えていただいたことを元に、その後の情報収集も含めて美容オイルについて、まとめたページにしていきます。
◆ 美容オイルの働き
エモリエント効果
オイルの働きは、一言でまとめるとエモリエント効果。エモリエントとは、日本化粧品工業会によると、「皮膚からの水分蒸散を抑えてうるおいを保ち、皮膚を柔らかくすること」と定義しているようです。
ちなみに水は、モイスチャー効果です。
このエモリエント効果を分解すると・・・。
1、オイルでフタをする
● 水分の蒸散を防いで、皮膚の水分を維持する。
● 角質細胞間脂質を強化する役割。
● セラミド的な働き。
内容を見ると、どれも皮脂の役割と同じです。オイルは皮脂の役割を補強するために使う、ということがわかります。
2、皮膚を柔軟にする
● オイルは疎水性である角質に馴染む。
● 水だけあっても肌は柔らかくならない。
オイルは皮膚を柔らかくする。美容オイルを使用する際に、肌を柔軟にするということを頭に入れたいです。
ただ、どうしてオイルが皮膚を柔らかくするのか、理由が知りたいです。このページの下に脂肪酸の二重結合によって柔らかくなるという内容が出てきます。細胞膜は脂肪酸の二重結合によって柔軟性が出るとされます。オイルを肌に塗布することでも、同じような効果が出るということでしょうか。
◆ 油性成分を構造で分類してみます。
油性成分を構造で分類してみます。構造で把握することで、オイルの特性と使い方を理解できます。
① 炭化水素 |
② 高級脂肪酸 |
③ 高級アルコール |
④ エステルロウ |
⑤ 油脂 |
①炭化水素
● オイルの基本構造だけでできている。
● 水素(H)と炭素(C)だけでできている。だから、炭化水素。
● 水と馴染む部分が全くない。
● 他のオイルより水分閉塞性(蓋をする効果)が高い。オイルでフタをする効果が高い。
● 酸化安定性が高い。
● 純度が高い。不純物がほとんどない
A、石油由来成分
・ミネラルオイル(流動パラフィン)
・ワセリン
・パラフィン
B、動植物由来
C、合成
・水添ポリイソプテン
「オイルでフタをする効果」というひとつの機能性で見ると「炭化水素」がもっとも高いのですね。
炭化水素に関しては、オイルでフタをする効果が高い、酸化安定性が高い、純度が高いという3つの特徴を理解するのがポイントですね。
②高級脂肪酸
● アルカリ剤(水酸化カリウム、水酸化ナトリウム)と反応させると石鹸になる。
● クリームや乳液に硬さを与える(主としてステアリン酸)
● 乳化を助ける(石鹸として)
・ラウリン酸(二重結合・・・0)
・ミリスチン酸(二重結合・・・0)
・パルミチン酸(二重結合・・・0)
・ステアリン酸(二重結合・・・0)
・オレイン酸(二重結合・・・1)
・リノール酸(二重結合・・・2)
・リノレン酸(二重結合・・・3)
● 二重結合があると、曲がる→肌を柔らかくする。
● 二重結合の数が多いほど、肌を柔らかくする。
いわゆる脂肪酸ですが、高級脂肪酸という表現の理由は、炭素(C)数が多いので高級という表現なのだそうです。脂質栄養の分野では長鎖ということです。
炭素(C)数が短いのは低級脂肪酸という表現だそうです。脂質栄養の分野では短鎖と中鎖です。
炭素の数は、12が高級と低級の境だそうです。脂質栄養では、12は短鎖・中鎖と長鎖の境くらいです。
二重結合の数で、肌を柔らかくする度合いが変わるとあります。細胞膜は、脂肪酸の二重結合の数で柔軟性が変わるとされます。これは構造上理解しやすいのですが、皮膚表面で塗布したオイル(コスメ)の脂肪酸の二重結合の数で、肌の柔軟性が変わるということでしょうか。(※二重結合の数が増えると酸化しやすくなります。)
③高級アルコール
● 炭化水素に、水酸基が結合した構造の成分。
● クリームの硬さを調整する。
● 乳化を助ける。
・セタノール
・ステアリルアルコール
・ベヘニルアルコール
・など
脂肪酸は、炭化水素にカルボキシ基を持つカルボン酸がついたもの。アルコールは、炭化水素に水酸基がついたもの。
高級アルコールという表現の理由は、同じく炭素(C)数が多いので高級という表現です。
炭素(C)数が短いのは低級アルコール。脂肪酸と同じく炭素の数は、12が高級と低級の境だそうです。
④エステルロウ
高級脂肪酸と高級アルコールがくっついた成分が主成分となっているもの。
A、合成
・パルミチン酸エチルヘキシル
・ラウロイルグルタミン酸ジ
B、天然由来
・ホホバ油(植物オイルとしては珍しいロウ)
・ミツロウ
・カルナウバロウ
よく知られているホホバオイルは、このカテゴリーに入ります。ホホバオイルは、油脂ではありません。これを知ることは、ホホバオイルを使用する上で重要になります。
親油性です。親油性ということは、他の美容オイルと馴染む、ということです。
トリグリセリドが3%程度ですから、酸化しにくいのも特徴。
⑤油脂
● いわゆるトリグリセリドタイプのオイルです。
● 飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があります。
● 不飽和脂肪酸は、二重結合があるため、より肌が柔らかくなりやすい。
● 不飽和脂肪酸は、オイルでフタをする効果が飽和脂肪酸に比べると低い。
● 不飽和脂肪酸の最大の欠点は酸化されること。酸化すると刺激になる。
● 人の皮脂の40%は油脂です。
● グリセリンと脂肪酸×3がくっついている部分は、常在菌が切ります。
● 微量成分(フィトケミカル)が機能性を左右することがある。
→ 植物ステロール、カロテン、ポリフェノール、フラボノイド
→ 精製されたオイルは、微量成分はほとんどなくなる
A、天然
・多くの動植物油
・オリーブオイル
・アルガンオイル
・椿オイル
・肌馬油ベビーピュアオイル
・シアバター
B、合成
・トリエチルヘキサノイン
・トリグリセリル
オリーブオイル、アルガンオイル、椿油など、一般的な美容オイルはこのカテゴリーです。
トリグリセリドは、「グリセリン+3つの脂肪酸」で構成されます。肌の常在菌がこの3つの脂肪酸を切り離します。切られた後の脂肪酸は、酸ですから、PHを整え、お肌を弱酸性に導きます。
油脂の量が多いと、常在菌が必要以上に活発になり、ニキビや毛穴を大きくする原因になるともいわれています。
やはり、肌を柔らかくする理由は、二重結合のようです。ということは、二重結合の多い不飽和脂肪酸が肌を柔らかくするということですね。オレイン酸は、二重結合が1つ。リノール酸は、二重結合が2つ。リノール酸の方が肌を柔らかくしやすいという考え方になります。
油脂を考える上でのポイントをまとめると、
●お肌を柔らかくする。
●微量栄養素。
●酸化。
●皮膚常在菌。
オイルの注意点・・・酸化
酸化に注意
・酸化すると皮脂も酸化する。
・酸化すると皮膚に刺激。
・色やにおいが変わったら使用禁止。
・酸化しやすいオイルは外出前は避ける。
・長時間つけっぱなしは避ける。
・紫外線で酸化する。
・皮膚常在菌により酸化、分解、代謝される。
酸化しにくいオイルと一緒に塗布する
酸化するオイルは、不飽和脂肪酸。
炭化水素、エステルロウ、飽和脂肪酸など酸化安定性の高いオイルと一緒に塗布する。
抗酸化成分としてトコフェロールを配合する
トコフェロール(ビタミンE・・・抗酸化成分)
α-トコフェロール | 抗酸化力が一番高いが、持続性が低い |
β-トコフェロール | |
γ-トコフェロール | |
δ-トコフェロール | 抗酸化力は一番低いが、酸化防止の持続性が高い |
酸化するオイルは二重結合がある不飽和脂肪酸。
二重結合の脂肪酸がどれくらいの割合で含まれているかで、酸化しやすいさが変わる。例えば、アルガンオイルは、オレイン酸が約45%、リノール酸が約35%。オレイン酸は、二重結合が1つ、リノール酸は2重結合が2つある脂肪酸です。これらを判断基準として酸化しやすさを考えます。
酸化をゆるやかにするために、酸化安定性の高いスクワラン、ホホバオイルを一緒に塗布する。トコフェロールが一緒に配合されているオイルを選ぶ。
美容オイルについてまとめ
● 美容オイルの効果をエモリエント効果という。
● 美容オイルの目的のひとつは、オイルでフタをして水分蒸散を防ぐ。
● 美容オイルの目的のひとつは、皮膚を柔らかくする。
● 皮膚を柔らかくするポイントは、脂肪酸の二重構造。オレイン酸、リノール酸など二重構造があるオイルが皮膚を柔らかくする。
● しかし、二重構造をもつ脂肪酸は酸化しやすい。
● 酸化しやすい場合は、酸化安定性の高いオイルと一緒に使用する。
● 最もフタをする効果が高く、酸化安定性が高いのが炭化水素。(スクワラン、ワセリンなど)
● ホホバオイルは、ワックスエステル。オイルではない。脂肪酸の割合が少ないため、酸化安定性が高い。
具体的なオイルに落とし込むと・・・
オレイン酸の比率が高いオイル
シアバター
商品解説
https://www.kodawari-lab.com/item/ex-shea-butter.html
ショッピング
https://www.kodawari-store.com/c/skincare/mother-sheabutter